第12回膵癌術前治療研究会

ご挨拶

第12回膵癌術前治療研究会の開催にあたって

 この度、膵癌術前治療研究会の世話人会のご配慮により、第12回膵癌術前治療研究会を2017年10月28日、広島の地で開催させていただくこととなり、大変光栄に存じております。
 さて、本研究会は、2010年2月に、東北大学の海野倫明教授を代表世話人として発足した研究会でありますが、本研究会を基盤として「切除可能膵癌に対する術前GS療法の手術先行に対する優越性を検証するランダム化比較第Ⅱ/Ⅲ相試験」の症例集積を完遂するなど、膵癌の術前治療に関して重要な研究会となっております。膵癌の外科的治療に関しては、多くの術後補助化学療法の有用性を検証する無作為比較試験が施行されてきましたが、本邦で施行されたJASPAC 01試験の極めて良好な成績より、本邦では術後療法の議論は終結した感があり、今後の外科治療においては術前治療の議論が主流となるものと考えられ、その意味においても、膵癌に対する術前療法の可能性を追求する重要な研究会となっております。膵癌に対する術前治療への興味は、海外でも同様で、術前化学療法、術前化学放射線療法を用いた無作為比較試験が進行中であることも先生方もご存じの通りと考えます。
 以上のように、膵癌術前治療に関しては、多くの前向き試験が進行中でありますが、未だ、術前治療に関する確固たるエビデンスはないのが現状でありますが、これら臨床試験の先を見据えて、今回の研究会のテーマは、「膵癌に対する術前治療の適応」とさせていただきました。先生方もご存じのように、膵癌は、新たに改訂された膵癌取扱い規約第7版により、術前MDCT画像所見より、術前治療の対象となる膵癌は、切除可能膵癌(R膵癌)、門脈因子に起因する切除可能境界膵癌(BR-PV膵癌)、動脈因子に起因する切除可能境界膵癌(BR-A膵癌)に分類されました。現時点で、本邦での主要施設の治療方針は、確固たるエビデンスはないものの、BR-A膵癌に対しては、全例、術前治療の適応とすることに異論はないものと考えますが、R膵癌、BR-PV膵癌に対しては、術後補助療法の進歩により、手術先行治療+術後補助療法の治療戦略で治癒を成し得る症例も多くみられるようになり、すべての膵癌に術前治療が必要かどうかの議論が必要と考えます。そこで、「すべてのR膵癌に術前治療は必要か?」、「すべてのBR-PV膵癌に術前治療は必要か?」の二つのclinical questionに対するスポンサードコンセンサスシンポジウムを企画し、現時点での膵癌術前治療研究会のコンセンサスを得たいと考えております。要望演題を含め、多くの先生方にご応募いただき、実りある学会にしたいと考えております。
 広島には、原爆ドーム、宮島厳島神社と二つの世界遺産があり、10月下旬の広島は、紅葉の時期にはやや早い時期ではありますが、広島名産の牡蠣を始め、多くの瀬戸内の小魚のおいしい時期であります。研究会でのホットなディスカッションの後は、広島の街を堪能していただければと考えます。ぜひ、多くの先生方のご参加、ご発表をお待ちしております。
 広島はええ街じゃけん、気軽にきんさいや。

第12回膵癌術前治療研究会 当番世話人
広島大学大学院医歯薬保健学研究科 応用生命科学部門 外科学 准教授
村上 義昭