「ようこそ」

 新生呼吸器内科として再出発して、はや14年目を迎えました。この間、教室は粛々と地域医療と医学教育に貢献し、さらに臨床および基礎研究において着実に世界的にも注目される成果をあげてきました。その実践の根底には、社会に貢献する人材の育成と世界の病める人達への人間愛の存在です。
【2016年度を振り返って】
(1)
新規の肺がん・術前免疫療法医師主導治験(日本発、世界初)
2016年11月に第1例目を登録し、肺がん患者に対しMogamulizumab(抗CCR4抗体)+Nivolumab(抗PD-1抗体)術前免疫療法で著効となり、12月に無事に手術を終えました。画期的な成果です。
(2)
日本初のがん免疫療法の専門書「読んで見てわかる免疫腫瘍学」(単著)を出版しました。
この一年間、寝食を忘れて日本初の書籍執筆に専念しました。基礎免疫から腫瘍免疫学、そして免疫腫瘍学と続き、これまでに無かったがん薬物療法の新しい概念を一臨床医の立場から、わかりやすく解説しました。著書「肺聴診学」と同様に、印税は「あしなが育英会」へ寄付したいと思います。
(3)
2016年度も、若手の教室員が日本内科学会奨励賞、日本呼吸器学会奨励賞、武田医学賞など全国区の栄誉ある賞を頂きました。

 今年、まもなく肺腺がんを対象として、XAGE1ペプチドワクチンの臨床試験を開始します。このワクチンは、我々が独自に開発した肺腺がんの治療ワクチンです。将来的には、日本発そして世界初の肺腺がんを対象とした、免疫チェックポイント阻害薬とXAGE1ペプチドワクチンの複合的肺がん免疫療法をめざしています。
 現在、世界的にも競争的な、がん免疫療法のバイオマーカーの探索を行っており、まもなく大きな成果を発表できると確信しています。
 今年も教室にとって、さらに飛躍の年になることを願っています。

平成二十九年四月

主任教授  岡 三喜男

「ようこそ」

 年初から暖冬と寒波、原油安と世界的な株価の乱高下と大荒れの新年を迎えました。教室は粛々と地域医療に貢献しながら、医学教育、臨床および基礎研究において着実に成果をあげています(以下に記載)。その根底には、教室員が一丸となって、大きな目標に向かっていることです。その目標とは、社会に貢献する人材の育成と世界の病める人達への医学愛です。眼前だけではなく、次世代を担う新しい世界共通の医療開発です。
【2015年を振り返って】
(1)
全員が第55回日本呼吸器学会総会(東京:2015.4.17-19)で発表しました。
教室は総合呼吸器内科医を当初からめざしており、感染症、アレルギー、肺がんの各分野で、教育講演やシンポジウムを含め、全員が日頃の成果を発表しました。
(2)
著書「肺聴診学」が発刊1年間、呼吸器関連書の売行き第1位になりました。
全国の医療関係者に読まれ、その聴診技が病める人々のためになっていることを実感しています。知人曰く「先生が亡くなっても、この本は50年間は残りますよ」、当に執筆の意図とした通りです。これからも機会があれば改訂をすすめます。全著作権料は「あしなが育英会」へ寄付していますが、向学心に燃える若者達への支援を通して日本の繁栄に貢献しています。
(3)
日本初の「肺聴診学」講義を開始しました。
これまで無かった本格的な肺聴診の習得をめざして、聴診法、分類、音響学、気管支体操、副雑音の病態生理、聴診から診断への道筋を教授しています。現代の聴診器を開発したラエネックも名著「間接聴診法」を著し、聴診教育に熱心に取り組んだと伝えられています。さらに講演を通じて、各分野での本格的な肺聴診の普及に努めています。
(4)
若手医師が数多くの受賞をしました。
2015年、日本医師会医学研究奨励賞、武田医学賞、第一回日本肺癌学会若手奨励賞、日本がん免疫学会若手奨励賞、岡山県医師会学術奨励賞、内科学会奨励賞など全国区と学内の栄誉ある賞を頂きました。未来を担う若手育成は教室の目標のひとつです。
(5)
日本発、世界初の肺がん・がん免疫療法の成果を論文発表しました。
2015年10月1日、米国癌学会公式誌Clinical Cancer Researchに掲載、同時に米国癌学会HPからプレスリリースされ世界の注目を浴びました。2014年10月1日にも肺がんXAGE1免疫に関しハイライト論文として、米国癌学会から2年連続して注目されました。これは快挙です!!
(6)
新規の肺がん・免疫療法医師主導治験(日本発、世界初)が始まりました。
世界初の抗CCR4抗体免疫療法の臨床治験の成果をもって、2015年秋期から肺がん患者に対するMogamulizumab(抗CCR4抗体)+Nivolumab(抗PD-1抗体)術前免疫療法の画期的な治験が開始されました。
 今年、肺腺がんを対象として、話題の免疫チェックポイント阻害薬、抗PD-1抗体薬の効果および予後予測因子を同定する免疫バイオマーカー研究を計画しています。
 これは世界的に最も競争的な課題となっており、我々の新たな挑戦になります。
 将来的には、日本発の肺腺がんを対象とした免疫チェックポイント阻害薬とXAGE1ペプチドワクチンの複合的肺がん免疫療法をめざしています。
 今年も教室にとって、さらに飛躍の年になることを願っています。

平成二十八年一月

主任教授 岡 三喜男


「ようこそ」

 今年、新生呼吸器内科の11年目を迎えます。この10年間で教室の診療、教育、研究レベルは質・量ともに格段に進歩しました。その成長ぶりは、毎月曜の抄読会での若手医師達の論文選択や読み方によって感知することができます。さらに、これら最新の情報が日々の診療に有効に活用されていることに誇りを感じています。その成果の根底には、社会に貢献する優れた医療人を育成する強い意志が反映されています。新しい教室の体制によって、教室員は「医師は広く世界をみて生涯にわたって学ぶ職業」であることを認識したようです。
 2014年を振り返ると、
(1)入院の実績が確実に上がっており、若手教室員の気管支内視鏡検査の技術がさらに向上しています。
(2)全教室員が臨床現場において医学生に対して講義と実践教育が徹底しており、教える=学ぶ(teaching is learning)の教育哲学が浸透しています。
(3)長年にわたった肺聴診の研究が現代版「肺聴診学」として結実し、5月に出版され9月にはスピード増刷されました。多くの学生や医療人に読まれ、その聴診技が病める人達のため役立てる事に至福を感じています。これらの著作権料はすべて「あしなが育英会」へ寄付されます。医学生に対しては、音の理論から実際の聴診までを、毎日の外来教育を通して分かりやすく教授している。将来、この本が「日本の肺聴診の聖書」になることを願っています。
(4)世界初の抗CCR4抗体がん免疫療法の臨床治験が順調に進行し、その論文化が間もなくです。我々が第1例目を登録し、最多の登録施設となりました。今年、その進展版の臨床試験が計画されています。
(5)肺腺癌におけるがん精巣抗原XAGE1の発現、免疫応答、予後との関連の論文が、10月1日に米国癌学会公式雑誌Clinical Cancer Researchのハイライトとして注目され掲載されました。この成果は肺癌における恒常的な免疫監視を実証した極めて価値のある論文でした。さらに肺癌局所での免疫抑制が強いことを証明しました。
(6)2006年に日本で初めて開設した「咳専門外来」が注目され、全国放送に出演し、大学の評価を高めました。
 今年、以上の成果から肺腺癌を対象としたXAGE1ペプチドワクチンの日本発、世界初の大型臨床研究を申請しました。さらに全員で社会貢献に邁進する決意です。
 今年も教室にとって飛躍の年になることを願っています。

平成二十七年一月

主任教授 岡 三喜男


「ようこそ,呼吸器内科へ」

「肺聴診学」 発刊にあたって

 「肺聴診学-読む肺音、視る肺音」(Webで聴く肺音)は、これから聴診器を手にする人達のために執筆しました。また、この本は医学教育に携わる人の聴診器と肺音への理解を深めることを目的としています。若い人達が実習の現場でもち歩き医療面接を基に、肺音の発生機序から聴診音を理解し、聴診音から病態を推察する思考過程を手助けするように配慮しています。肺音に耳を澄ますと呼吸音の発生機序から、呼吸を営む肺の驚異的な構造がみえてきます。
 身体診察には五感を鋭く働かせることが重要です。聴診器は科学が進歩した今も医療人が最初に手にする診療器具ですが、その構造と特性、肺音の発生機序と伝播について学ぶ機会がありませんでした。身近な肺聴診に関して「読む、視る、聴く」教育資材は乏しく、1985年の「肺の聴診に関する国際シンポジウム」での肺音分類も未だ十分に普及していないのが現状です。その理由は、これまで肺聴診の教育と習得は、呼吸生理学、音響学、流体音工学の科学的な成果を考慮しない経験的なものになっていたからです。近年の画像診断の進歩と相俟って、さらに肺聴診が軽視されていることは否めません。多くの教育者や臨床医は科学的な根拠がない経験的な知識だけで、曖昧な肺聴診での教育と診療をおこなっていたように感じられます。呼吸器疾患には、画像所見だけで診断できないものが多数あります。実地医療では、聴診によってごく初期の肺炎を発見し、聴診所見の変化で処方を変更することもしばしば経験します。この「肺聴診学」は、身近で手軽な診療器具である聴診器を生涯にわたって、有効に活用するためのものです。
 1816年、仏国の臨床病理学者ラエネックは子供たちの遊姿から木製聴胸器(聴診器)を考案、1819年に聴診所見と病理所見を対比して「間接聴診法」を著し、肺聴診学を確立しました。私の母校、1857年創立の長崎大学医学部(図書館)には、日本最古のラエネック型木製聴胸器が保存されています。この聴胸器は1848年、日本へ種痘をもたらした出島商館医オットー・モーニッケが欧州から長崎の出島へ持参したものです。この地から日本の西洋医学教育、種痘、そして肺聴診学が始まりました。ここにラエネックの木製聴胸器から約200年を経て、改めて彼の偉業を称え、未来を担う若い医療人のため現代版「肺聴診学」を著しました。
 より完成した肺聴診学の実学書をめざして、皆様からのご意見を求めています。川崎医科大学呼吸器内科ホームページへ忌憚のないご意見をお寄せください。この現代版「肺聴診学」が多くの方に使われ、聴診技の向上と何よりも病める人達のため大いに役立つことを願っています。
 最後に、多忙な診療の中で聴診音の収録に協力いただいた教室員の皆様、肺音解析ソフトEasyLSAの使用を快諾して頂いた国立病院機構福岡病院の中野博先生に厚く御礼申し上げます。

2014年4月

川崎医科大学呼吸器内科
教授 岡 三喜男

本書の特徴と活用法
1)
この本は実学書です。まず聴診器に触れ、肺音を聴き、肺音を視て読んで、肺音の音源と病態を考えて下さい。Webで肺音を聴きながら読む・視ることができます。
2)
読みやすい、理解しやすい箇所から読み込んで下さい。形式上は三部構成ですが、お互い内容の理解を助け合っています。
3)
肺音をWebで聴き、肺音を各種デバイスにダウンロードできる画期的な医学教育資材です。
4)
肺音はヘッドホーンで聴くと臨場感を体感できます。収録した肺音は、市販の聴診器で防音設備のない部屋で採り、加工せずそのまま搭載しています。その結果、すべて実地医療に近い聴診音になっています。


「ようこそ」

 今年も新たに一名の新入教室員が誕生することになりました。社会へ貢献する優れた人材を育成することは、教室の使命です。昨年の新人三名も、この一年で大きく成長していることを実感しています。全員で力を合わせ、教室を盛り上げてくれることを期待しています。
 2014年、とくに良き新年を迎えることができました。2013年2月、我々が世界初の「日本発、抗CCR4抗体による進行固形癌に対する免疫療法の臨床治験(厚労科研)」を開始しました。世界的にみて、免疫をコントロールする制御性T細胞を標的とした癌免疫療法の報告は無く、その情報と成果が期待されています。今年、抗CCR4抗体治験はさらに進み、各種癌において成果が次々に生まれると確信しています。一方、その他の癌免疫治療の臨床試験も順調に進んでいます。
 現在、日本を除く先進国では、免疫制御分子を標的にした癌免疫抗体療法が脚光をあび、2015年には承認される予定になっています。この日本の惨状は、癌免疫療法への偏見に発した発想転換の遅れ、優れた基礎研究を臨床へ連結できず、新規治療法の開発を怠ってきた結果です。今後、我々が中心となって、日本から世界へ新規の癌免疫療法を発信していきたいと考えています。
 日本の多くの大学医学部と総合病院の総合的かつ最大の課題は、医師と教員不足です。医師不足は大学の診療、教育、研究の質と量を低下させ、ひいては日本の国民医療と国力に支障をきたすことは確実です。われわれの日々の努力には限界もあり、解決できない課題も多く、国を挙げて取り組むべきです。
 2014年4月、長年にわたって研究してきた「肺聴診学」(肺音付)を出版します。これまで日本に無かった音響学を融合した「正式な肺聴診に関する教本」です。聴診器を手にする全医療人のために執筆(単著)しました。大きな反響を期待しています。
 2014年、身近な肺聴診学から世界の先端・先進医療まで、教室にとって最も飛躍すべき年になることを期待しています。高い理想をもった若人が結集し、日本のため、世界の病める人達のため活躍することを願っています。

平成二十六年一月

主任教授 岡 三喜男


「肺聴診学」 発刊にあたって

 「肺聴診学-読んで学ぶ肺聴診」は、これから聴診器を手にする人達のために執筆しました。若い人達が実習の現場でもち歩き、肺音の発生機序から聴診音を理解し、聴診音から病態を推察する思考過程を手助けするように配慮しています。肺音に耳を澄ますと呼吸音の発生機序から、呼吸を営む肺の驚異的な構造がみえてきます。また医学教育に携わる人の肺音と聴診器への理解を深めることも目的としています。
 身体診察には五感を鋭く働かせることが重要です。聴診器は、科学が進歩した今も医療人が最初に手にする診療器具ですが、身近な肺聴診に関して「読む、視る、聴く」教育資材は乏しく、1985年の「肺の聴診に関する国際シンポジウム」での肺音分類も未だ十分に普及していないのが現状です。その理由は、これまで肺聴診の教育と習得は、呼吸生理学、音響学、流体音工学の科学的な成果を考慮しない経験的なものになっていたからです。近年の画像診断の進歩と相俟って、さらに肺聴診が軽視されていることは否めません。多くの教育者や臨床医は科学的な根拠がない経験的な知識だけで、曖昧な肺聴診での教育と診療をおこなっていたように感じられます。呼吸器疾患には、画像所見だけで診断できないものが多数あります。実地医療では、聴診によってごく初期の肺炎を発見し、聴診所見の変化で処方を変更することもしばしば経験します。この「肺聴診学」は、身近で手軽な診療器具である聴診器を生涯にわたって、有効に活用するためのものです。
 1816年、仏国の臨床病理学者ラエネックは子供たちの遊姿から木製聴胸器(聴診器)を考案、1819年に聴診所見と病理所見を対比して「間接聴診法」を著し、肺聴診学を確立しました。私の母校、1857年創立の長崎大学医学部の付属図書館には、日本最古のラエネック型木製聴診器が保存されています。この聴診器は1848年、日本へ種痘をもたらした出島商館医オットー・モーニッケが欧州から長崎の出島へ持参したものです。この地から日本の西洋医学教育、種痘、そして肺聴診学が始まりました。ここにラエネックの木製聴胸器から約200年を経て、改めて彼の偉業を称え、未来を担う若い医療人のため現代版「肺聴診学」を著しました。
 より完成した肺聴診学の実習書をめざして、皆様からのご意見を求めています。川崎医科大学呼吸器内科ホームページへ忌憚のないご意見をお寄せください。この「肺聴診学」が多くの方に使われ、聴診技の向上と何よりも病める人達のため大いに役立つことを願っています。

2013年10月

岡 三喜男

*2013年度末
 完成本「肺聴診学―読んで、視て、聴いて学ぶ肺聴診」を正式に出版します。


ご訪問いただきありがとうございます。

 今年、新たに二名(松田先生、八十川先生)の教室員が誕生しました。
教室は、徐々に人、物、情報が自然に流入するようになり、私の理想とする教室の姿に一歩ずつですが昇り始めています。理想の医学系教室とは、社会へ貢献できる医療と人育です。
 教室の行事は、毎月1日、数十誌におよぶ基礎と臨床の英文誌の目次を全員に回覧して、希望の論文を提供して最新の情報に遅れないように配慮している。このため国内学会に出向くことなく、全員が最新の情報に触れることが可能となっている(実感)。毎週、月曜日の抄読会では若手医師が頻繁に、この最新の医学文献を読破して全教室員と実習医学生に紹介している。私も抄読会文献を耳学問として楽しみにしている。
 医学教育では、若手医師が胸部CT講義を担当して、自らの勉強の場となるように配慮している。若手医師が実践医学教育に携わることによって、教員育成と自己学習心を養うことができる(私の教育哲学)。最近、若手が目覚ましく進歩・進化しているのは、気管支内視鏡術である。とくに超音波気管支内視鏡においては、高いレベルを維持し、さらに採取検体を用いた分子免疫学的な検討を始めている。世界初の成果を期待している。
 今年、教室の最大の話題は2月頃に開始予定、日本発、世界初の抗CCR4抗体を用いた進行固形がんに対する免疫療法の臨床治験である。世界的にも注目され、政府の強力な支援を得て、日本の威信をかけて取り組む決意です。全教室員、大学職員、附属病院の皆さまの協力をお願いします。
 今年が教室にとって、最も飛躍する元年になることを期待しています。また高い理想をもった若人が全国から結集し、一緒に日本のため、いや世界の病める人達のため新医療を開発することを願っています。

平成二十五年一月

主任教授 岡 三喜男


 この度、第四十六回日本呼吸器学会中国四国地方会の主催を機に、ホームページの中に「教室の方針」を改めて明記しました。われわれ大学医療人は、地域医療に貢献する大学病院として、先進国日本の大学として国家へ貢献する義務を負っています。そのために何をすべきか常に自問し、教室も大学も理想をどのように具現化できるかが問われています。今後の十年間、創立期からの飛躍をめざして、当大学に必要なものは世界に突出する成果です。やはり基本姿勢は、日々の堅実な診療から世界を眺めることです。
 具現化の一環として、ひとつの病気に限らず広い視野で学ぶ姿勢を教育するため「咳外来」を開設、その結果の咳外来データを公開し、禁煙外来を充実させました。咳診療では、呼吸は鼻腔から肺胞までを理解する必要があります。この統計から、外来と入院診療でわれわれ呼吸器科医が取り組むべき課題が浮き彫りになりました。しかし、全国の医療現場では、急速に進む少子高齢化が重い課題としてのし掛かっています。
 一方、新規治療法の開発を目指して昨年、旧知中山睿一教授をお迎えし「免疫研究室」を併設しました。この研究室は世界トップレベルの免疫学的な解析能力を有し、マウスからヒトまで、各種の疾患に対応しています。既に大きな成果が生まれ、われわれは壮大な夢に向かって舟を漕ぎ出しました。一月七日、政府は内閣官房に「医療イノベーション推進室」を新設し、国を挙げて新規治療薬の開発を支援する体制を整えました。やっと医療を国内問題から産業としての国家政策へ転換しようとしています。今年、われわれにとって強い追い風が吹く好機となります。
 最近の世相をみると、飽食社会の中で人も国も個人主義が台頭し、本来の目標を失っています。もう一度、自らをリプログラミングし、いま医学を通して国家繁栄と広く国際社会へ貢献する若い人材が求められています。
 高い理想をもった若人の結集と突出する飛躍を期待しています。

平成二十三年一月

主任教授 岡 三喜男


 最初に、川崎医大呼吸器内科方式「肺音の記載法」をホームページに初めて掲載したことを報告します(ようこそ)。我々が提案する世界初の肺音記載法は、簡便な診療機器の聴診器に付加価値を与え、医学教育や医療福祉に貢献すると確信しています(聴診器の話)。この二年間、目で見る肺音、肺音から考える画像所見、新しい肺音の分類、肺音の教育を目的として長崎大学工学部と共同研究を重ねてきました。近く、医療関係者の皆さまに我々が開発した「肺音の教育ソフト」をお届けできることを楽しみにしています。
 今年、川崎医科大学は創立四十周年を迎え、一人前の大学として認知される五十年の歴史へ向かって、今後の十年は成人の大学として発展する大きな一歩を踏み出します。大学は社会から「建学の理念」の具現化を検証される厳しい局面に立つことを改めて感じています。医学生にも自立心と自覚を促したいものです。その具現化とは地域医療への貢献は勿論、地域から信頼と尊敬される大学、それにも増して教育機関として広く社会に資する人材の輩出です。
 さて教室には新入教室員とともに、新しい息吹が感じられる年になりました。この四月、長崎大学腫瘍外科を始め同志が集い、「新規がんワクチンの臨床開発」を目指した免疫研究室を併設します。世界の病める人々のため、医師として、大学人として僅かでも貢献できることに至福を感じています。しかし、がん領域に限らず幅広く疾患に新規の免疫学的な考察と手法を応用することを決意しています。現実、バイオ技術の進歩によって各種疾患に対しワクチン療法や抗体医薬品が続々と臨床に登場し、日本から新規治療法の開発はわれわれの責務です(歴史に学ぶこれから)。これから医学のキーワードは「ゲノム、免疫、再生医学」です。生命誕生から人類存続には、生体のごく自然な力が働き厳しい環境の中を生き抜いてきた歴史があり、生命科学が進歩した今日、病気を治すには自然免疫と再生能力を活用するのが理想的です。我々は合成化合薬に依存しない病気の治療と自然な自力に期待しています。
 我々の目指す医学に共感する情熱あふれた若い同志の参入を求めています。
 この一年、皆様のご指導とご支援をお願いいたします。

平成二十二年一月

主任教授 岡 三喜男


 この三月、新生呼吸器内科になってはや五年を経過します。幸い毎年、今年も二名の新入教室員を迎えることができました。大学の基本的使命である人材育成に、僅かでも貢献できたことに安堵しています。組織の基本は人材であり、社会貢献しながら日々進化してゆく大学にとって人材は貴重な資源です。教室員の日々絶え間ない努力と協力に改めて感謝しています。また恒例の教室主催年末ボーリング大会には、過去最大の八十有余名の参加者があり大盛会でした(教室訪問)。
 この一年、社会環境のグローバル化を日本人が、最も身近に再認識させられた年はなかったように思います。どのアナリストも予想すらできなかった、想像を越える激変でした。翻って、旧態依然とした社会構造の問題点も浮き彫りになりました。その結果、改革すべき事項も明確となり、今後、政権交代を通じてただ実行あるのみです。
 医学的話題に目を向けると、生物、ヒトとして安心して子供を産み、日々健康に暮らし、そして安らかに眠ってゆく、この自然界の基本的営みが悲しくも国家的に保証されなくなりました。しかし、社会制度の如何に関わらず、われわれ医療人の天命は、手を当て「人を病苦から解放する」ことである。いま教室の話題として、人に優しい新規がん治療法の開発に全力で取り組んでいます。今年、まもなく癌患者さんへ提供できることを楽しみにしています。
 私の母校、長崎大学医学部開学の祖ポンペは、「医師は自らの天職をよく承知していなければならぬ。ひとたびこの職務を選んだ以上、もはや医師は自分自身のものではなく、病める人のものである。もしそれを好まぬなら、他の職業を選ぶがよい。」(1857年)、日本最初の西洋医学講義を始めるにあたって医学生に説いている(歴史を超えて、いま)。
 今年、激動の中にあっても改めてポンペの言葉を噛みしめ、教室員一同、絶え間なく進化していきます。

平成二十一年一月

教授 岡 三喜男


 このホームページを開設して一年が経過しました。この間,多くの方々に訪問していただき厚く御礼を申し上げます。
 訪問者のなかにはホームページをご覧いただき遠方から受診され,少しでも皆様のお役にたてたことを教室員一同,大変嬉しく思っています。とくに平成十八年四月に開設した「咳外来」は,他施設にはみられない特徴ある専門外来として注目されています。咳外来での貴重な資料は詳細に解析され,咳でお困りの患者さんに将来,新しい診断と治療法をご提供できると確信しております。
 この一年,呼吸器内科には数名の新入教室員が我々の仲間として加わりました。社会に資する若手医師の育成は,我々の使命であり日々研鑽を積んでおります。近年の報道でみられますように,医師不足と過重労働に起因する「医療崩壊」が確実に進んでいる現状,我々は地域医療の要請に応えるべく救急医療,腫瘍,感染症,アレルギーを主体とした診療を堅持しています。一方,病院の増改築にともない皆様には一部ご迷惑をお掛けしておりますが,完成後は快適な空間での医療を提供できることを楽しみにしております。
 これから更に一年,日々精進をつづけThink Globally, Act Locallyを実践します。

平成二十年一月

教授 岡 三喜男


 平成十六年春,川崎医科大学呼吸器内科は「呼吸器の総合内科」として生まれ変わり,この春,全員野球ができる教室へさらに進化しました。地域医療からの強い要請に応え,感染症,肺がん,アレルギー,慢性閉塞性肺疾患の専門医を配して日々の診療にあたっています。その背景には,川崎医科大学附属病院はドクター・ヘリを有し,その出動は年間四百回をこえる全国でも有数の高度救命救急病院として機能しているからです。国公立大学附属病院とは意を全く異にし,普通感冒から重症呼吸不全まで幅広い診療を行っています。
 外来診療は終日外来と土曜外来を堅持し,疾患の多様化とその動向に鑑み専門外来を設置しています。疾患の予防と管理は「禁煙外来」,「感染症外来」,「喘息外来」,「腫瘍外来」,「咳外来」をおこなっています。難治で急増している肺がんについては,セカンド・オピニオン部長外来を設け最新の治療を含めご相談に応じています。入院診療は全員,毎夕の新患カンファランスと画像読影会,週三回の病棟総回診で「こまやか全員診療」を徹底しました。
 呼吸器内科の最大の特徴は,縦割り診療を排した各診療科との固い連帯です。他施設にはない外科医との合同回診で呼吸器総合診療を実践しています。「患者さまの現在と未来」をしっかり見据えた「こまやか診療」と,その地道な実地医療から世界の病める人々のために情報発信することが,私たちの診療と人材育成の理念です。
私たちは地域に根ざし地域と共に,国際社会の中で進化し続けていきます。

平成十八年十月

教授 岡 三喜男


川崎医大呼吸器内科「肺音の記載法」1


川崎医大呼吸器内科「肺音の記載法」2


肺音聴診部位記載法1


肺音聴診部位記載法2


新北館棟(中央)


新救急車搬入口


大学南景


現代医学教育博物館


新校舎棟






09九州会