会長挨拶

第45回日本血管外科学会学術総会 会長
末田 泰二郎
広島大学大学院医歯薬保健学研究科 応用生命科学部門 外科学
  第45回日本血管外科学会学術総会を2017年4月19日(水)から21日(金)まで広島のANAクラウンプラザホテル及び広島国際会議場で開催します。例年より1~2か月早い開催です。4月末には米国胸部外科学会(AATS)があり心臓大血管が専門の皆様はAATSに参加されます。5月の連休明けからは広島は蒸し暑くなり始め雨が降る日も多くなります。そこで例年より早い4月第3週の開催にさせて頂きました。暑くも寒くもない一番いい季節です。広島国際会議場があります広島平和記念公園は原爆資料館が隣接し桜やつつじの名所ですが残念ながら桜は散っています。代わりに新緑が芽吹き清々しい陽気に恵まれると思います。

 今回のテーマは「進化するデバイス、深化する技術」としました。TEVAR、EVARを始めとするステントグラフト治療はデバイスの進化で大動脈瘤治療を根本的に変えました。EVARは対側レッグのないデバイスやタイプⅡエンドリークを予防するシールデバイスやプラグが開発され腎動脈下腹部大動脈瘤は全例EVAR治療が可能になりそうです。一方で従来から行われている弓部大動脈瘤に対する弓部全置換術は手術成功率も脳梗塞発症率も低下しています。本邦発のオープンステントグラフトは逆行性大動脈解離や大動脈壁性状の良い嚢状弓部大動脈瘤など適応を選べば優れた治療法です。しかし、胸腹部大動脈瘤の外科治療は未だに最難関手術で対麻痺のリスクもあり手術死亡率も一部の施設を除くと高いままです。胸腹部大動脈瘤に対するデブランチTEVARも合併症が多く完成された術式とはいえません。本会では胸腹部大動脈瘤オープン手術とendovascular治療を大きなテーマにしたいと考えています。末梢血管のステントも年々進化して膝上大腿動脈のレベルでは人工血管バイパスと遜色ない成績を上げています。膝下膝窩動脈バイパスでは優れた静脈弁カッターの出現でdistal bypassが糖尿病性下肢壊疽の患者を中心に各地で行われています。

 しかし、血管外科の治療成績を向上させ手術症例数を増やしているのはデバイスの進化だけではなく、Z0ないしはZ1TEVARでは大動脈解離を起こさず脳梗塞のリスクを減らす手術の工夫やオープンステントでは緻密な症例選択と正確なステントグラフト留置による対麻痺予防の技術が進歩したためです。Distal bypassでも末梢側吻合時のno clamp遮断などの細かい手術技術の進歩が開存成績を向上させました。本学会では、これまでの血管外科のデバイスの進歩と技術の深化について振り返りつつ、近未来に向けて情報を発信できる会にしたいと思います。

 春の広島は緑豊かで美しく食べ物も美味しいです。皆さん広島においで下さい。