会長挨拶

第13回日本統合失調症学会
会長 大森 哲郎
徳島大学大学院医歯薬学研究部 精神医学分野 教授
 2018年3月23日(金)・24日(土)の両日に、第13回日本統合失調症学会を開催することになりました。研究と治療をbenchからbedsideまで幅広く扱うだけでなく、患者と家族の視点をも取り込んで、真に総合的に統合失調症の理解と支援を目指す本学会は、学術団体としても異彩を放っています。その学会を徳島にお迎えすることができ、大変光栄に思うとともに、大きな責任を感じております。全国から集まる皆さまに有意義な場を提供できるよう尽力いたします。
 大会テーマは「どこまで治る、どう生きる」といたしました。すぐには治らない患者さんの治療を模索しながら、どこまで治るのだろう、と思案を巡らせることがよくありますが、もちろん簡単に結論が見えるわけではありません。しかし、患者さんはみなそれぞれの人生を確実に生きていて、それに感嘆することがよくあります。そんな思案や感嘆は統合失調症の診療の際に特に多いのではないでしょうか。学会では、それをもっと総合的に考えることが出来ればと存じます。
 特別講演では、Jari Tiihonen先生にご登壇いただきます。抗精神病薬は精神症状の改善と引き換えに様々な身体的リスクの増加を伴うことが指摘されはじめたころ、抗精神病薬による長期治療は生命予後を延長するという同先生の2009年のLancet論文には思わず安堵したものでした。薬物には有害事象を伴うことがあるのは肝に銘じつつも、そのベネフィットを最大化する意義は言うまでもありません。その後も重要論文をたくさん発表している同先生の講演は本学会のハイライトとなります。
 もうひとつの特別講演では、作家の盛田隆二先生が統合失調症の妹様のことをお話しくださいます。近著「父よ、ロング・グッドバイ‐男の介護日誌‐」には、認知症が進行するご尊父の様子とともに、入退院を繰り返す妹様の決して軽くはない病状とご家族の関わりが活写されています。貴重なお話しが拝聴できると存じます。
 特別講演のほかには、例年にならっていくつかのシンポジウムや地域実践紹介に加え、今回は若手向きに認知機能検査などの研修コースも予定しています。多くの方々のご参加を心からお待ちしております。
 3月末の徳島は桜の咲き始めるころです。会場のあわぎんホールは、かつては特産品の阿波藍を載せた帆船が行き交った藍場浜の川辺に面しております。ちなみに、本大会のポスターや本ホームページの表紙は、徳島大学精神科作業療法室の藍染作品をあしらったものです。また懇親会では阿波踊りの実演と郷土料理をたっぷりとお楽しみいただけます。こちらにもふるってご参加ください。