第48回日本肝臓学会総会
会長:金子 周一

 この度、第48回日本肝臓学会総会会長を拝命いたしました。

 私の恩師であります服部 信先生が平成元年に総会を、小林健一先生が平成10年に大会を金沢市において開催されました。つくづく身に余る光栄であり深く感謝申し上げます。

 今回の総会のテーマは「これからの肝臓学 〜継承と創造〜」としました。私の学生の頃は、ノーベル賞をとるような仕事を自分ができるはずもなく“世界のどこかの賢い誰か”が発見をして、創り上げた医学や医療を習得するだけで臨床医は十分だろうと思っていました。しかし、患者さんから学んだ日々の事実が、病院のカンファレンスで提示する自分の小さな発見が、“砂粒”となって医学の体系に寄与していることを知りました。学会は会員が医学と医療の体系を学んで継承していく場であり、同時に会員が砂粒をもって集まり、積んだり崩したりしながら新しい医学と医療の山を創造する場と考えています。

 特別講演と招請講演には“世界のどこかの賢い誰か”を代表してノーベル賞受賞者の益川敏英先生と文化功労者の松原謙一先生にお願いしました。益川先生の受賞記者会見を拝見して私は大いに感動し、それ以来、科学をする人の喜びを勝手に解釈して益川先生のご様子を学生に語っています。松原先生には医師になった直後からお世話になり、現在も私の砂粒をみていただいています。お二人のご講演に科学の何かを感じていただければ幸いです。

 肝臓学の山であるB型慢性肝炎、C型慢性肝炎、肝細胞癌をシンポジウムに取り上げました。熊田博光先生、林 紀夫先生、幕内雅敏先生に基調講演をしていただきます。また、肝細胞癌画像診断をパネルディスカッションとし松井 修先生に基調講演をお願いしました。肝臓学の体系を継承し、現在も創造に寄与されておられる先生方に、その山となった体系の姿をみせていただけるものと大いに期待しています。会員が砂粒を持ち寄って創造すべき肝臓学の分野をワークショップに組みました。創造はむずかしい作業になるため、ワークショップにおいても分野を代表する先生から基調講演あるいは特別発言をいただく予定としています。

 演題数が増加したためにセッションが並列し、最近は、重要な発表に立ち会えなくなりました。あるいは、肝臓学の広がりとともに、知りたい分野でも十分に理解できないという発表があります。そこで、各分野の中心として活躍しておられる先生にお願いし、発表時間と異なった時間に“まとめ”をしていただきます。運営はむずかしいのですが、会員の先生の広く深い理解につながればと思います。

 最後に、金沢は加賀百万石を今に残す町であり、芸能や文化施設に恵まれています。食事も大変に美味しく、足を延ばせば能登、加賀の温泉郷も近い立地です。学会翌日の土曜日に教育講演会も予定しています。ご家族やご友人と訪れていただいて、金沢を堪能していただきたいと思います。
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