第39回日本アフェレシス学会学術大会

大会長挨拶

 この度、2018年10月25日(木)26日(金)27日(土)の3日間、岡山県で開催されます第39回日本アフェレシス学会学術大会の大会長を務めさせていただくことになりました。
 1970年代に始まった日本のアフェレシスも、当初期待された病因の解明への貢献という面では不十分な面はあるものの、最も短時間で、低侵襲かつ確実に有害物質や細胞を除去し得る、また有用物質を輸注し得る治療法として、各種領域の多様な疾患の治療戦略において、必要欠くべからざる治療、技術としての地位はゆるぎないものになっています。一方で、希少で重篤な疾患が対象となることが多いため、統計学的有意差を提示することが困難な場合が多く、現在の医療の前提となるEBM(Evidence based medicine)に組み込まれた治療になりにくいことも事実です。このことが、アフェレシスが有効と考えられている多種多様な疾患群において、アフェレシスの標準的治療への組み入れを妨げている大きな要因と考えられます。この弱点を克服するためにも、確固としたガイドラインの提示が不可欠であり、現在学会が取り組んでいるガイドラインの作成に関連した企画を、今回の学術大会においても第38回学術大会に引き続いて行う予定です。
 この様な観点から、今回の学術大会では、現在の医療にアフェレシスがどのように貢献しているかを改めて確認し、今後の方向を提示できることを課題に、テーマを『アフェレシスは医療を支える』とさせていただきました。
 米国をはじめ国際的には標準的手法である、遠心分離を用いたアフェレシスに関しては、日本では造血幹細胞移植関連の細胞採取と赤十字血液センターで行われる献血者からのドナーアフェレシスにほぼ限られ、それ以外、特に治療的アフェレシスについては、少数の施設でしか行われていない特殊性があります。日本を中心に発展してきた膜分離の素晴らしい技術に加えて、膜分離にはない遠心分離の特性を再認識し利用することは、我が国のアフェレシスの可能性を広げる力となると考えています。さらに今後多様な疾患の治療において、遠心分離が得意とする造血細胞を用いた細胞療法の比重が増すことが予想されます。欧米では日常診療の中で行われているものの、我が国では行われておらず、現在移植後GVHDに対して保険収載に向けての準備が進められている、ECP(Extracorporeal photopheresis)も含めて、遠心分離法によるアフェレシスについても積極的に取り上げてゆきたいと考えます。
 学会場となる岡山コンベンションセンターは、岡山駅直結で、学会参加だけではなく、瀬戸内、山陰、四国へも気軽に足を延ばしていただける絶好の位置にあります。ぜひ、秋の山陽路に足をお運びいただき、学会場でお目にかかりましょう。

第39回日本アフェレシス学会学術大会
大会長 上田 恭典
公益財団法人大原記念倉敷中央医療機構倉敷中央病院 血液内科
血液治療センター 外来化学療法センター