■ご挨拶

清水 英治(鳥取大学医学部 分子制御内科学)
  この度、2016年(平成28年)7月21日(木)~22日(金)の両日、鳥取県米子市の米子コンベンションセンターにて第25回日本がん転移学会学術集会・総会を開催させていただくことになりました。山陰地方では初めての開催となり、大変光栄に存じますとともに身の引き締まる思いです。

 日本がん転移学会は1992年にその前身として日本がん転移研究会が故明度先生,故鶴尾先生らのご尽力で設立されて以来、がん転移に対して基礎、臨床、企業が協力して学術発表を行い、がん患者さんに研究成果を役立てるという基本理念が受け継がれて来ました。第25回日本がん転移学会学術集会・総会のテーマは「がん転移制御の未来-臨床から基礎へ-」とさせていただきました。臨床の中でも呼吸器内科が担当するのは第15回(平成18年、曽根三郎会長)以来であります。肺は多くのがん転移の標的臓器であり、呼吸器内科医にとっては転移性肺腫瘍の原発巣となり得る全身臓器のがんの理解が必須であります。近年、がんの基礎研究と臨床試験そしてその間を繋ぐ創薬企業の尽力により、基礎研究の成果がよりスピードアップして臨床に応用されるようになってきました。以前には新薬承認まで10年以上の月日がかかっていましたが、EML4-ALK融合遺伝子の発見から治療薬の承認まで僅か4年でした。肺癌の転移病態も遺伝子変異タイプにより異なり、EGFR変異では脳転移が多いのですが、EGFR阻害薬で脳転移が長期間制御されることも経験されます。長年、がんの臨床の現場に身を置く中で、転移病態が大きく変化していることを実感しておりますが、もう一度、臨床側から転移の実態を掘り下げ、基礎研究や創薬に役立つ発表を取り上げたいと考えております。今回の学術集会では広く臨床医が参加できるようにがん転移に関する症例発表の場も設けたいと思います。がん転移症例を一例一例丁寧に検討することで癌転移研究の裾野が広がることも期待しています。本学術集会では臨床、基礎、創薬の各々の立場からご討議いただき、有益な情報交換、学術振興の場所にできればと考えております。

 梅雨あけの鳥取県米子市は、熱い時期ではありますが、山陰の夏は都会の夏とは少し異なり、時折さわやかな夏の風を感じることができます。中国地方最高峰の大山をはじめ、白砂青松の皆生温泉、マグロの水揚げ日本一の境港、先日国宝に指定された松江城、庭園世界一の足立美術館、少し離れますが、縁結びの神で有名な出雲大社、日御碕灯台も魅力的です。多くの学会員の皆様に参加いただけることを、御願い申し上げます。
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