第18回日本認知療法・認知行動療法学会

第19回日本認知療法・認知行動療法研修会(ワークショップ)

第18回日本認知療法・認知行動療法学会では、様々なカテゴリーにおいて、必要な基礎知識の普及と情報の共有を目的とした「第19回日本認知療法・認知行動療法研修会(ワークショップ)」を開催いたします。
このプログラムには分野を問わず多くの方々にお集まりいただきたく、ご案内をいたします。

日本認知療法・認知行動療法学会の会員でない方、またワークショップ単独での受講者も歓迎しております。

こちらのワークショップへの受講申込はオンラインによる事前登録制です。定員に達し次第、締め切りとさせていただきます。
お席の空き状況によっては学会会期中の11月23日(金・祝)・24日(土)にご参加も受け付けておりますが、先着順となりますので、お早めの事前申込みをお勧めいたします。
ワークショップ当日(25日)のお申し込みは受け付けておりません。
ワークショップ単独でのご参加をご希望の方は、必ず事前参加登録でお申し込みください。

みなさまのご参加を心よりお待ちしております。

11月25日(日)のワークショップにはお一人午前中に1セッション、午後に1セッション、最多で2セッションのお申し込みが出来ます。
ただし、ワークショップ1(終日)を選んだ場合、1セッションのみでのお申し込みとなります。

定員になり次第、締め切らせていただきます。多数のお申し込みが予想されますので、お早目にお申し込みください。

参加費

1セッションあたり9,000円
(※WS1のみ、20,000円)

参加登録方法

下記の『事前参加登録』ボタンをクリックしてください。
受付フォームが開きますので、必要事項を入力してお申込みください。
※オンライン事前参加登録申込のみでは正式登録とはなりません。参加費の入金をもって完了となります。
※ワークショップの参加のみの登録も可能です。

参加費の支払いについて

銀行振り込みでお願いいたします。

募集期間

2018年9月5日(水)~2018年10月12日(金)正午 締め切りました

会期中申込方法

事前登録締切り後は、学会会期中の11月23日(金・祝)・24日(土)に総合受付にてお申し込みください。
ワークショップ毎に先着順で受け付けます。
なお、お支払いは現金のみとなります。
※ワークショップ当日(25日)のお申し込みは受け付けておりませんので、ご注意ください。

空席状況

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ワークショップ1

2018年11月25日(日)9:00-16:00
第1会場[2F レセプションホール]

Cognitive Behavior Therapy for Psychosis(CBTP)

コーディネーター:耕野 敏樹(地方独立行政法人 岡山県精神科医療センター)
演者:Nicola P Wright(Psychologist at The Royal Ottawa, Canada)
逐次通訳:菊池 安希子(国立精神・神経医療研究センター精神保健研究所
地域・司法精神医療研究部)

演者紹介

Bio: Nicola Wright, Ph.D. C.Psych. (www.treatingpsychosis.com)
Dr Nicola Wright has been a registered Clinical Psychologist for over 25 years. She has been employed as a staff Psychologist with The Royal Ottawa, Canada since 1999 where she has provided individual and group Cognitive Behavior Therapy for Psychosis for the past 18 years. Nicola is also employed as an Adjunct Faculty member with the Beck Institute of Cognitive Behavior Therapy (CBT). Nicola is a founding member of the Canadian Association of CBT as well as the North American CBT for Psychosis Working Group. In addition to her clinical work, Nicola has held the positions of Chief of Psychology and Director of Training for the Royal Ottawa’s Clinical Psychology Pre-doctoral Residency Program. Given her passion for psychology, education and training, Nicola served as President of the Canadian Council of Professional Psychology Programs as well as a committee member on The Council of Chairs of Training Council. She has also been a committee member on the Accreditation Panel, Education and Training committee, and Professional Affairs committee of the Canadian Psychological Association. Nicola is a Clinical Professor with the School of Psychology, University of Ottawa. She is the lead author of a book for clinicians on CBT for Psychosis which has been translated into Japanese (Treating Psychosis by Wright, Turkington et al., 2014). She is also the author of numerous chapters and articles. Nicola has been the principle investigator on two randomized controlled studies on Group CBT for Psychosis and Voices. Nicola conducts consultation, supervision and professional training for the Beck Institute of CBT and presents training workshops on CBT for Psychosis internationally. She believes passionately in an empowering evidence-based and recovery-oriented CBT approach to working with those who experience psychosis.

Wright先生は25年以上臨床心理士として臨床をされており、特に1999年からはカナダの王立オタワ病院の心理士スタッフとして、そこで18年間サイコーシスに対する認知行動療法を個人精神療法として、そして集団精神療法として実施しておられます。the Canadian Association of CBTとNorth American CBT for Psychosis Working Groupの創立メンバーであり、Chief of Psychology and Director of Training for the Royal Ottawa's Clinical Psychology Pre-doctoral Residency ProgramやPresident of the Canadian Council of Professional Psychology Programs、The Council of Chairs of Training Councilなど様々な役職でご活躍されておられます。ベック研究所のAdjunct Faculty memberとして、コンサルタント、スーパーバイザー、専門家教育などもしておられ、この度はその御縁で来日していただけることになりました。多数の書籍、Group CBT for Psychosis and VoicesのRCTなどの研究、著作活動も活発になさっておられ、2014年に出版されたTreating Psychosis(Treating Psychosis by Wright, Turkington et al., 2014)の筆頭著者でもあります(同書は金剛出版社より近日出版予定)。サイコーシスを経験されている方々と共に、エビデンスに基づく、リカバリーを目指した認知行動療法を熱意を持って日々取り組んでおられます。

Website:www.treatingpsychosis.com

This workshop will present the recovery-oriented CBTP theory, empirical-basis, assessment, conceptualization and treatment approaches for clients with schizophrenia/psychosis. Topics covered will include engagement, therapeutic relationship, strengths-based assessment, conceptualization, treatment planning and implementation of CBTP approaches based on the cognitive behavior model. The workshop will focus on CBTP approaches to address delusions, hallucinations, and negative symptoms, behavioral activation, staying well and group CBTP. Strategies for individually tailoring interventions and addressing diversity, trauma, substance use and other co-morbidities will be covered.
Workshop Content
Cognitive Behavior Therapy for Psychosis
・Introduction and overview of recovery and recovery-oriented CBTP
・Research and empirical support for CBTP
・CBTP model of negative and positive symptoms
・Emotion Regulation & Resilience: Integrating positive psychology, compassion-, & mindfulness-based approaches in CBTP
・Engagement and therapeutic relationship
・Strengths- and recovery-oriented assessment
・CBTP conceptualization
・Individually tailoring CBTP to address diversity, cognitive function, trauma, substance use and other comorbidities
・Trauma-informed CBTP
・Treatment planning, values, and meaningful recovery goals
・Session structure
・Negative symptoms, defeatist beliefs, stigma and behavioral activation
・Goal setting, achievements, and progress monitoring
・Activity monitoring and scheduling
・CBTP understanding and approaches for distressing thoughts (delusions)
・CBTP understanding and approaches for distressing experiences (hallucinations)
・CBTP approaches for disorganized thinking
・CBTP strategies, skill development, and coping/recovery cards
・Maintenance phase: consolidation of skills and progress
・Recovery plans and staying well/relapse prevention
・Implementing group CBTP
・Experiential exercises, videos, case presentations
An electronic copy of our 17 session CBTP Manual (consistent with NICE, 2014) will be provided. CBTP worksheets for experiential exercises will be provided. A copy of the book Treating Psychosis translated into Japanese (with over 60 pages of client worksheets) will also be available.

本ワークショップでは、統合失調症あるいはサイコーシスを持つクライエントに対するアセスメント、概念化、そして治療アプローチについて、リカバリーを目指したサイコーシスに対する認知行動療法(以下CBTpとする)の理論とエビデンスに基づいて話題にしていく。その中でも特に、治療的関与、治療関係の構築、ストレングスを踏まえたアセスメント、概念化、認知モデルから導き出されるCBTpアプローチの治療計画と適応、といったことに本ワークショップでは重点をおいている。具体的には、妄想や幻覚症状、そして陰性症状へのCBTpアプローチ、あるいは行動活性化をすること、良い状態を保つこと、CBTpグループへの参加、といったことに注目している。その中で説明する戦略は、こうした対象への治療の中でよくみられる、介入を個別性に合わせて調整することや、多様性の問題、外傷体験の存在、物質乱用、そして併存障害に対応していくこと、についても網羅している。
Workshop Content
Cognitive Behavior Therapy for Psychosis
・リカバリーとリカバリーを目指したCBTpの紹介と全体像
・CBTpに関する研究と実証的裏付けについて
・陰性症状と陽性症状に対するCBTpモデル
・感情調節とレジリエンス:ポジティブ・サイコロジー、コンパッション、マインドフルネスのCBTpへの統合
・治療的関与と治療関係
・その人の強みとリカバリーに基づいたアセスメント
・CBTpにおける概念化
・CBTpを個別性に合わせて調整し、多様性、認知機能、外傷体験、物質乱用問題そして併存障害に取り組む
・外傷体験への理解に根ざしたCBTp
・治療計画、価値観とその人にとって意義のあるリカバリーのための目標
・治療構造
・陰性症状、「敗北者だ」という信念、スティグマ、そして行動活性化
・目標設定と達成や進捗のモニタリング
・行動のモニタリングと活動スケジューリング
・辛い思考や妄想に対するCBTpにおける理解とアプローチ
・辛い体験や幻覚に対するCBTpにおける理解とアプローチ
・解体症状に対するCBTpアプローチ
・CBTpの治療戦略、技法の発展、そしてコーピングカードあるいはリカバリーカード
・維持期:技法と進歩の地固め
・リカバリー計画と良い状態を維持すること、あるいは再発予防
・グループでCBTpを適応する
・実習、動画を用いた説明、症例提示
※当日は17回セッションのCBTpマニュアルと「Treating Psychosis」のワークシートを抜粋して資料としてお渡しします。

ワークショップ2

2018年11月25日(日)9:00-12:00
第2会場[1F イベントホール西]

マインドフルネス -体験を通して概念を知る-

コーディネーター:佐渡 充洋(慶應義塾大学医学部 精神神経科学教室)

医療をはじめ、ビジネス、教育の現場などで、「マインドフルネス」という言葉が急速に認知されつつある。マインドフルネスを取り入れた医療的な介入には様々なものがあるが、精神医学や臨床心理学の領域では、マインドフルネスと認知行動療法の手法が統合された「マインドフルネス認知療法」が最も馴染みのある介入技法かもしれない。マインドフルネス認知療法とは、「意図的に、今この瞬間に、価値判断をすることなく注意を向けること」と定義されるマインドフルネスの技法を用いることで、不安や抑うつの原因となる思考の反芻を抑制し、気分の改善をはかる精神療法のひとつである。
マインドフルネス認知療法のセッションでは、瞑想やヨガといったマインドフルネスの技法を中心に練習していく。通常10-20人程度の集団で、1回2時間のセッションを合計8回実施する。この集団精神療法の前半では、呼吸や体の感覚に注意を向け、そのままそこに注意をとどめることから訓練を開始し、後半では、思考や気分をそのままとらえる「脱中心化」の技法を身に付けていく。従来の認知行動療法が認知の変容を積極的に扱うのに対して、マインドフルネス認知療法では、思考をそのままとらえるだけで、認知の修正を積極的に扱うわけではない。しかし、どちらの精神療法でも「脱中心化」が治療上重要な役割を果たしている点が、共通点としてあげられる。
マインドフルネス認知療法において中核的な役割を担うマインドフルネスについては、近年、その認知度の向上に伴い、関連書籍も数多く出版されてきている。よって、それらを通じて、マインドフルネスに対する理解を深めることが可能となってきている。しかし、その本質が「実践を通じた気づき」にある以上、体験の伴わない理解だけでは不十分なのもまた事実である。
そこで、このワークショップでは、参加者に様々な瞑想のエクササイズを実際に体験してもらい、その体験を参加者や講師との間で共有していく。こうした「実践を通した気づき」のプロセスから、マインドフルネスそのものへの理解を深めていく。さらには、こうした体験と講義などから、マインドフルネスのどのような点がうつや不安といった精神症状の改善に効果を発揮するのかといった、精神療法における効果発現の機序についても理解を深めていく予定である。

ワークショップ3

2018年11月25日(日)9:00-12:00
第3会場[1F イベントホール東]

メタ認知療法の理論と実践

コーディネーター:熊野 宏昭(早稲田大学人間科学学術院)

本ワークショップでは、熊野によるメタ認知療法(MCT)の概論、富田による社交不安を対象とした研究成果や、複数のケース報告などを交えながら、メタ認知療法の理論的理解とそれに基づく臨床実践の向上を図りたい。
MCTでは、自動思考やスキーマなどを生み出す認知プロセスに注目し、そのプロセスに大きな影響を与える要因に介入することで、うつや不安などの精神障害の解決を図る。病理的な認知プロセスは、注意認知症候群(CAS)と呼ばれ、反すう・心配などの反復的思考、能動的な注意バイアスである脅威モニタリング、思考抑制や回避行動などの役に立たない対処行動の3つから構成されている。一方、CASに影響を与える要因として、能動的な注意制御の機能不全と、CASに対するメタ認知的信念の2つが挙げられる。能動的注意制御の改善法は、自己注目を減らし注意制御の柔軟性を高めるための注意訓練、思考と現実が区別されない対象モードでの認知プロセスであるCASとは対照的に、メタ認知的気づきが十分に働くメタ認知モードでの認知プロセスであるディタッチト・マインドフルネス(DM)の体験的理解、注意を分割しながら現実を偏りなく捉える状況への再注意法の3 つで構成される。メタ認知的信念とは、認知プロセスを能動的にモニタリングしコントロールする方法についての信念であり、この信念の内容を変容することによって、CASを低減しDMを生起しやすくすることを目指していく。
社交不安の維持要因とされる、自己注目及び注意バイアスといった注意の問題の特徴を比較可能な形で捉えることを目的とした研究を行った。第一に、自己注目と注意バイアスに関わるメタ認知的信念、心的視点の観点から両者の異同を検討した。第二に、社会的場面において自己注目と注意バイアスが生じているときの視線の動きと脳活動を測定し、両者の可視化を試みた。その結果、社交不安の中核的な注意の問題は自己注目であり、その際、右前頭極が過剰に活動する様子と脅威的な他者を回避する視線の動きが示された。以上より、社交不安におけるCASが自己注目、心的視点、視線の動きから捉えられ、その維持要因がメタ認知的信念と過剰な右前頭極機能として捉えられた。
後半では、複数のケースの治療経過を示しながら、MCTに関わる上記の理論的枠組みや実証的研究成果を踏まえた場合に、どのようにその奏功機序の理解を深め、さらなる介入技法の改善や開発につなげることができるかを提言したい。

ワークショップ4

2018年11月25日(日)9:00-12:00
第4会場[2F 展示ホール]

ストレスチェックに簡易型CBTをどう活かすのか
−職域メンタルヘルス対応におけるストレス保健指導の視点から−

コーディネーター:宇都宮 健輔(産業医科大学精神医学)

簡易型CBTとは、少ないマンパワーで効果的なCBTを提供できる効率的なアプローチのことである。近年、ストレスチェックが法制化され、職域のメンタルヘルス対応における“適切なサポート”への企業ニーズが高まっている。この場合の適切なサポートとは、“適切な事後措置(例えば、職場環境調整・受診指導・保健指導等)へ繋げること”と言い換えられる。つまり、簡易型CBTをストレスチェック等で活用するためには、事後措置の1つである「ストレス保健指導」として位置付けることが大切になる。
またストレス保健指導の実施者として産業保健スタッフ(産業医・心理士・保健師・看護師・精神保健福祉士等)が役割を担うことが重要である。
<内容詳細>
1.ストレスチェックにおける背景と実務の解説[0.5時間]
現場において適切な事後措置(ストレス保健指導)へと繋げるためのポイントとして、ストレスチェックの背景と実務を理解しておくことが重要である。この場合の背景とは「企業の仕組み」を指し、実務とは「(産業医・医師の)面接指導の詳細・流れ」を示している。特に面接指導では、事後措置の判断を行うことが目的となる。当日は、これらについて解説を行う。
2.ストレスチェックにおける簡易型CBTプログラムの演習[2.5時間]
本プログラムはテーマとして、「認知行動スキルについて理解する」「行動でこころを元気にする」「状況・気持ち・考えを整理する」「適応的思考を作り出す」「問題を上手に解決する」「気持ちや考えを上手に伝える」「まとめとふりかえり」の全7回のセッションから成り立つ。当日は、これらについてガイドブック・インターネットを利用して演習を行う(※本プログラムを使用した研究については、産業医科大学医学部倫理委員会にて承認が得られている)。
本ワークショップで解説・演習する内容は、ストレスチェック(1次予防)だけでなく、復職後支援(3次予防)、メンタルヘルス健康相談(2次予防)など、職域メンタルヘルス対応の全般において適用可能なものである。本ワークショップに参加いただき、現場で労働者の心の健康増進に寄与できる専門的・実務的な知識・スキルをぜひとも習得いただきたい。
【※重要】当日は、インターネットCBT活用サイトを利用した演習を行うため、スマートフォンまたはノートパソコン・ipad等の機器を自分で用意・持参いただくことが必須となっております(会場内にフリーWiFi環境が整備されておりますが、一度にアクセスが集中すると接続が不安定となる可能性がございますため、ご自身のWiFi機器をお持ちの方は念のためご持参ください)。お手数おかけしますが、何卒よろしくお願いいたします。

ワークショップ5

2018年11月25日(日)9:00-12:00
第5会場[3F 301会議室]

スキーマ療法入門:「生きづらさ」に焦点を当てた統合的認知行動療法

コーディネーター:伊藤 絵美(洗足ストレスコーピング・サポートオフィス)

スキーマ療法とは,米国の臨床心理学者であるジェフリー・ヤングが1990年代に提唱した認知行動療法(CBT)の発展型である。ヤングは認知療法の提唱者アーロン・ベックのもとで訓練を受けたが,従来うつ病を対象としていた認知療法を,パーソナリティ障害,特に境界性パーソナリティ障害(BPD)に拡張して適用するために,認知の中でも特に深いレベルのスキーマ(認知構造)に焦点を当て,スキーマレベルの変容や修復を目指すアプローチとしてスキーマ療法を構築した。ここでいう「スキーマ」とは、人生早期に生き延びるために形成されたにもかかわらず、大人になってからかえってその人を生きづらくさせてしまう「早期不適応的スキーマ」のことである。スキーマ療法は,CBTを中心に,アタッチメント理論、力動的アプローチ,構成主義,ゲシュタルト療法,感情焦点化療法などを加味した,非常に統合的な理論と方法論を持つことにその特徴がある。2003年にはヤング自身が「スキーマ療法」のバイブルと呼ぶ大がかりなテキストが出版され(Young et al., 2003),またヨーロッパで治療効果研究が行われ,BPDなどに対する治療効果の高さがエビデンスとして示されたことによって,現在,スキーマ療法は世界的に注目の集まる心理療法のアプローチとなっている。演者は2003年のテキストを監訳すると同時に,CBTの仲間と共にスキーマ療法を学び,自ら体験し,また臨床の現場でクライアントと共にスキーマ療法を行う機会が少しずつ増えているが,そこで実感するのは,「きちんとお膳立てをして臨めば,スキーマ療法によって得られる効果はかなり高い」ということである。そしてここでいう「効果」とは,単に症状や問題が解消されるという意味ではなく,自分の生き方を振り返り,これまで抱えてきた生きづらさを理解し,それを乗り越えて新しい生き方を探索していく,という生き方レベルの効果である。本ワークショップでは,スキーマ療法の概要をお伝えし,スキーマ療法ならではの概念や方法について,受講者の方々がイメージできるよう,できるかぎり具体的にお伝えしたい。実際にはスキーマ療法の治療理論と治療モデル、早期不適応的スキーマ、新たに開発されたモードモデル、スキーマの変容のための諸技法について紹介する予定である。参考文献 伊藤絵美(編著)スキーマ療法入門.星和書店.2013.

ワークショップ6

2018年11月25日(日)9:00-12:00
第6会場[3F 302会議室]

まずはここから:強迫性障害に対する認知行動療法
−曝露反応妨害法を中心として−

コーディネーター:
堀越 勝(国立精神・神経医療研究センター認知行動療法センター)

強迫性障害(または強迫症)(Obsessive-Compulsive Disorder;以下OCD)は、強迫観念に伴い喚起される不安、または不安に対する儀式的行為(強迫行為)が長時間にわたり過剰になることで、日常生活に支障を来す疾患です。OCDの治療には、SSRI(選択的セロトニン再取り込み阻害薬)と、曝露反応妨害法を中心とする認知行動療法の併用が推奨されています。認知行動療法では、患者やそのご家族、治療者(または担当セラピスト)が強迫性障害の治療にチームとして一緒に取り組むことが、治療効果を高めるうえで大変重要です。そのため治療への十分な動機づけを行い、患者との関係性を構築しながらOCDや曝露反応妨害法への理解を深めてもらうことが欠かせません。本ワークショップでは、はじめにOCDの症状や治療に関する概論と、治療に関する最新の知見などについてご紹介します。次に、OCDと曝露反応妨害法の心理教育について、私たちが作成した治療者用ハンドブックを用いて演習を交えながら解説します。最後に模擬症例に沿って不安階層表の作成や曝露反応妨害法の課題設定を行います。全ての演習において、「押す」、「交渉する」、「突き放す」治療者3 モードを柔軟に使い分け、最終的には患者自身が曝露反応妨害法の課題に取り組めるようセッションを進めていきます。これらの演習を通して、心理教育を円滑に進めるためのポイントや、曝露反応妨害法を効果的に進めるためのポイントを学んで頂くことを目指しています。今回は、OCDに対する初回セッションや、汚染強迫、確認強迫など、強迫タイプ別の曝露反応妨害法実施例に関するデモンストレーションビデオを豊富に用意しました。
本ワークショップはOCDに関心のある方や、曝露反応妨害法を始めたばかりの方を対象にしていますが、OCDの症例を多くご担当されている方のご参加もお待ちしております。明日からの臨床現場ですぐに活用できるようなスキル習得を目指して、本ワークショップはより実践的な参加型研修として進める予定です。

ワークショップ7

2018年11月25日(日)9:00-12:00
第7会場[4F 405会議室]

認知療法・認知行動療法の第一歩

コーディネーター:大野 裕(大野研究所)

認知療法・認知行動療法に対する関心は高いが、それだけに誤解されることも少なくない。例えば、認知行動療法は考え方のクセを変えるアプローチであると言われることがあるが、これは必ずしも正しくない。認知行動療法は問題解決的アプローチであり、考えを修正するのは目的ではなく、問題に対処するための手段である。また、認知ばかりに目を向けて相談者の人となりを理解することを怠ったり、人間的で支持的な関係性に目が向かなくなったりすることもある。本ワークショップでは、こうしたことを含めて、認知行動療法で誤解されやすい点に触れつつ、認知行動療法のエッセンスについて紹介することにしたい。また、最後に、インターネットを利用しながら面接を行うハイブリッド(ブレンド)認知行動療法の実施方法についても紹介する。ワークショップの進め方であるが、まず認知行動療法の基本的な考え方やよくある誤解について解説し、認知行動療法で重視されるソクラテス的問答や協働的経験主義について研修する。続いて、認知行動療法の基本的な面接構造である導入パート、相談・対処パート、終結パートについて動画やロールプレイを織り込みながら研修する。導入パートでは、気分をチェックして前回のセッションのポイントと前回のセッション以降の生活のなかで起きた重要な出来事、そしてホームワークを振り返り、アジェンダを設定する。ちなみに、アジェンダはスキルではなく、患者が解決しなくてはならない心理的課題に関連した具体的な出来事である。相談・対処パートでは、患者の心理的課題に関連した認知または行動に焦点を当てながら、アジェンダ(現実の問題)に対処するのに適したスキルを柔軟に選択し、患者が問題に取り組むのを手助けして、そこで使ったスキルについて簡単に説明(心理教育)を行う。最後に終結パートに5分から10分を使って、セッション全体を振り返り、話し合った内容に関連したホームワークを決め、セッション全体に対して患者からフィードバックを得る。最後に、こうした面接の構造化とスキルの選択をインターネットの支援を活用しながら実施しレベルアップにつなげていく学習のポイントについて、動画を紹介しながら解説する。

ワークショップ8

2018年11月25日(日)9:00-12:00
第8会場[4F 407会議室]

認知行動療法の導入に活かす動機づけ面接法

コーディネーター:加濃 正人(新中川病院 内科・精神科)

来談者が治療者の前に現れるとき、治療を受けることについて十分な動機を持っているとは限らない。治療をおっくうと考えたり、治療者に自分の悩みを打ち明けるのを恥と感じたり、自己破壊的な行動に何らかの“利益”を見いだしていたりという状況は、程度の差はあれしばしば起こる。家族の指示や司法の手続きによって来談した方であればなおさらだろう。このような状況で、認知行動療法のスムーズな導入に役立つ方法のひとつが動機づけ面接法(MotivationalInterviewing;MI)である。
動機づけ面接法は、「行動変容への動機と決心を強化するための協同的な会話スタイル」と定義される。アルコール問題を抱える来談者に対する介入研究において治療成績が良かった面接経過を解析することで、行動療法の専門家であるMiller WRとRollnick Sが体系化して発展させた。現在はアルコール治療のみならず各種物質使用障害、ダイエットや生活習慣の改善、HIV感染リスク行動抑止、DVや子育てを含む家庭内問題、司法関連問題、各種治療アドヒアランス向上など行動変容課題全般に用いられ、多数のRCTやメタ解析によって効果が裏づけられている。
動機づけ面接法の特徴は、行動変容に向けて一定の方向づけをする「目標指向的要素」と、受容および共感を主体とする「来談者中心療法的要素」の、一見すると相反する2要素を併せもつことである。変化を拒む来談者に対して、変化のメリットを説得する目標指向的要素のみの面接を行っても、反論として変化のデメリットを主張する発言を引き出すだけで終わってしまいやすい。逆に、来談者の発言すべてに対して共感を試みる形で来談者中心療法的要素のみの面接を実施しても、変化に踏み切るまでに多大な時間を要するとか、結局現状維持を選択するとかという事象が起こる。
動機づけ面接法では、来談者中心療法的要素を保持しつつ、来談者の発言をチェンジトーク(変化に向かう発言)と維持トーク(現状維持に留まろうとする発言)に大別し、チェンジトークに対して選択的に共感し、分化強化を行う。この結果、チェンジトークと認知的に整合する行動変容の動機を引き出すことができる。
動機づけ面接法のもうひとつの特徴は、MillerとRollnickを中心としたトレーナーのネットワーク(MI Network for Trainers;MINT)が、新しいトレーナーの教育を体系的に実施し、さらに習得のための演習プログラムを公開していることである。本WSでは、MINTに所属するトレーナーを主とした演者およびファシリテーターの補助により、公開されている演習プログラムの一部を体験することで、動機づけ面接法の原理と基本技法をモータースキル(体の動きで覚える技術)として学んでいただくことを目標とする。

ワークショップ9

2018年11月25日(日)9:00-12:00
第9会場[4F 404会議室]

自殺念慮のマネジメント:
アセスメントと危機手法および短期的な認知行動療法的視点

コーディネーター:
大塚 耕太郎(岩手医科大学医学部神経精神科学講座/岩手県こころのケアセンター)

臨床場面や支援場面では悩みを抱えた方が追い詰められ、自殺念慮を抱いている方に出会うことは少なくありません。そのような場合に、支援者は危機介入として自殺の危険性に留意しながらマネジメントすることが求められます。そこで重要となることは、自殺念慮のアセスメント、対峙の仕方、そして対応です。危機介入における帰結は最終的な解決ではないが、心理的な働きかけにより不幸な転帰を辿らずに危機を乗り切り、心理的な問題の次の段階に進むことが不可欠な現場課題です。このワークショップでは自殺リスクのアセスメントと危機介入における行動目標を取り上げ、概論の講義と関連項目の演習を通して、臨床現場での自殺リスクへのアプローチの基本的知識・技法の理解につなげることを目的として行います。

ワークショップ10

2018年11月25日(日)13:00-16:00
第2会場[1F イベントホール西]

弁証法的行動療法とマインドフルネス:
「賢い心」を活用した「弁証法的ジレンマ」へのアプローチ

コーディネーター:石井 朝子(ヒューマンウェルネスインスティテュート)

弁証法的行動療法(Dialectical Behavior Therapy:DBT 以下DBTとする)は、米国ワシントン大学のマーシャ・M.リネハン教授により、境界性パーソナリティ障害(Boderline Personality Disorder:BPD 以下BPDとする)の診断基準をみたす自殺行為常習者のための包括的治療法として開発された認知行動療法である。BPDに対する有効性について対照試験を通して実証した初の精神療法でもある。2014年には、スキルが大幅に改訂され、発達障害にも効果が認められるようになり、中学生や高校生の学校教育プログラムに導入されている。自殺傾向のある人の家族、家庭内暴力の被害者等のさまざまな対象群に対しては、スキル・トレーニング単独でも有効であることが実証され、標準的なDBTと同様に無作為化対照試験においても多くの研究が報告されている。リネハン教授は、常にクライエントの行動結果に焦点を置くことを重視し、認知行動療法戦略の応用と修正を試み、また力動的精神療法、自助グループ、禅の瞑想などからも有効な手法を取り入れていった。そしてDBTは、行動を変化させる「行動主義」や「受容」を促進しながら共感を育むスキルの「マインドフルネス」と「受容」と「変化」の間を、柔軟にバランスをとる「弁証法」の3つのパラダイムを統合させた。その結果、BPDの情動調節、対人関係、苦悩耐性に関するスキルの欠如の克服と自殺行為などの問題行動の再発防止スキルの向上につながった。本ワークショップでは、BPDの特徴的な行動パターンについて「弁証法」を活用した3つの次元から概念化したものを示しながら、「弁証法的ジレンマ」に焦点を当てる。「弁証法的ジレンマ」とは、バランスをとる能力あるいは、それらを統合させる能力が欠如していることから、各次元の両極端を継続的に揺れ動くことである。他人は、自分のことを理解せず過度な期待をすると怒り、ある時は、自分の能力は、生かしてもらえていないと絶望感を持つ。いずれの場合も著しく不快なものとなり、苦痛な情動の軽減や自分への期待や考え方を変えるために自殺や衝動的な問題行動をする。DBTでは、この「弁証的ジレンマ」に関する行動スキルの欠如に対して「マインドフルネス」の実践により習得できる「賢い心」のスキル向上により解決していくことを目指していく。ワークショップ後半では、「賢い心」を育むトレーニングを紹介し、実践する。

ワークショップ11

2018年11月25日(日)13:00-16:00
第3会場[1F イベントホール東]

「ケースの概念化」から考えるACT

コーディネーター:武藤 崇(同志社大学 心理学部)

アクセプタンス&コミットメント・セラピー(以下,ACT)にも,代表的なテクニックがいくつか存在する。しかし,それらのテクニックをいくつか組み合わせるだけでは,ACTにはならない。自分の行っている援助・支援がACTになるには,ACT固有のトリートメント・モデルに基づいた「ケースの概念化」が必要となる。そのトリートメント・モデルが「心理的柔軟性(別名,ヘキサフレックス)」モデルである(下図)。心理的柔軟性モデルの6つのプロセスは,以下の通りである。1)アクセプタンスとは,ウィリングネスとも呼ばれ,嫌悪的な思考,感情,身体感覚などの心理的体験を避けたり,取り除こうとしたりせずに,意図的に「抱える」ことである。2)脱フュージョンとは,思考を額面通り(字義通り)に受け取ってしまうという傾向を減少させ,思考自体を現在進行中のプロセスとして体験することである。3)「いま,この瞬間」との接触とは,過去や未来に関する思考にとらわれずに,現在進行中の内的・外的体験に注意を向けたり,記述したりすることである。4)文脈としての自己とは,「自分は〜である」といった自己概念にとらわれずに,単なる「視座」として自己を捉えることである。また,5)価値とは,進行中の行動が持っているポジティブな質(ただし,物質的なものではない)のことである。たとえば,他者を愛するという価値は,他者とかかわるという行為の中に反映されているものである。6)コミットされた行為とは,同定された価値に基づいた具体的なアクションを持続的に生起させ続けることである(Hayes & Smith, 2005)。本ワークショップは,心理的柔軟性モデルに基づいた「ケースの概念化」を臨床場面で使用できるように解説することを目的とする。また,当日は「ケースの概念化」ワークシートを用いて,具体的に,その進め方について実習していく予定である。

ワークショップ12

2018年11月25日(日)13:00-16:00
第4会場[2F 展示ホール]

健康行動と服薬アドヒアランスにいかす行動変容ワークショップ

コーディネーター:藤澤 大介(慶應義塾大学医学部医療安全管理部/精神・神経科)

身体疾患の認知行動療法、特に生活習慣の改善(行動変容)に焦点をあてたワークショップです。
慢性疾患における、食事、運動、喫煙、飲酒、服薬などについて、患者さんが日常生活で主体的にセルフケア行動に取り組み、続けるための援助に役立つ認知行動療法の視点と技法を学びます。
(1)動機づけと行動変容に関する基本の概説
慢性疾患治療におけるアドヒアランスの課題、変化への準備性(Trans-theoretical model)ほか
(2)介入にあたってのアセスメントの実際
疾病認識(病への心的適応・受容、リスク認識など)の把握、行動の機能分析、患者さんをとりまく環境の理解(ソーシャルサポート、ハイリスク場面の分析など)
(3)具体的な介入スキル演習
動機の引き出し方、生活習慣を変えることの損益分析、セルフケア行動の形成促進(ハイリスク場面への対処習得、アサーティヴ・コミュニケーションの支援)、価値の明確化(個人の価値に則して生きること)などから構成します。
行動変容に関連するスタンダードな演習のほか、臨床現場で遭遇する困難への配慮、たとえば、認知障害などの併存する問題のアセスメントとそれに基づく介入、チーム医療の活かし方なども扱いたいと思います。
生活習慣病、食事療法が必要な諸疾患(慢性腎臓疾患など)、禁煙、精神疾患の患者さんの生活習慣の改善(運動、栄養管理、禁煙、服薬アドヒアランスなど)、健康な方の健康関連行動の向上などに応用可能な内容です。
ワークショップでは、事例やロールプレイを通じて具体的な演習の時間を設けます。受講にあたって事前の経験は不要です。

ワークショップ13

2018年11月25日(日)13:00-16:00
第5会場[3F 301会議室]

不眠の認知行動療法

コーディネーター:渡辺 範雄(京都大学大学院医学研究科 社会健康医学系専攻
健康増進・行動学分野)

わが国の不眠症の時点有病率は成人で約20% とされ、国民のこころの健康を脅かす大きな問題となっています。また不眠は様々な体や心の疾患と併存し、お互いにとっての誘発・増悪・維持因子となります。
私たちのグループでは、不眠症に対する認知行動療法を基礎として比較的容易に実施可能なものへ改訂した短期睡眠行動療法を開発し、特に薬物治療後も不眠が残存したうつ病患者に対して、その効果を無作為割り付け対照試験で検討しました。結果としてこの治療は、不眠に対してもうつに対しても臨床的・統計学的有意に良い効果をもたらすことが分かり(J Clin Psychiatry, 2011)、またQOL(J Clin Sleep Med, 2014)・費用対効果費(Psychiatry Clin Neurosci, 2014)も有意に優れていることを確かめました。
このワークショップでは不眠の評価法や成り立ち、不眠の認知行動療法の治療要素等の総論、不眠の認知行動モデル、睡眠日記、睡眠衛生教育、睡眠スケジューリングといった治療技法の各論までを紹介します。これらは単なる講義にとどまらず、いかに患者さんのモチベーションを上げるか、治療効果を維持するかといった実践的技術に関して、ロールプレイなどの体験を通じて学んでいただきます。

ワークショップ14

2018年11月25日(日)13:00-16:00
第6会場[3F 302会議室]

うつ病の行動活性化入門

コーディネーター:神人 蘭(広島大学病院 精神科)
コーディネーター:高垣 耕企(広島大学保健管理センター)

本ワークショップでは、うつ病の行動活性化に特徴的な行動原理と理論的背景を概説した後で、快活動を標的とした従来の行動活性化だけでなく、受動的回避を標的とした新しい行動活性化についても、基本テクニックと実践のポイントに関してワークなどを通して体験し、学んでいただくことを目的としています。
簡便な快活動を標的とした行動活性化を行い、十分な効果が得られない場合に、もっと個別化した受動的回避を標的とした行動活性化を行うことで、臨床場面での効率的な治療提供が可能になると考えられます。行動活性化は単純な原理や構造であることから、容易に訓練しやすいため、様々な臨床場面で広く普及できる可能性を持っています。本ワークショップが、多くの治療者にとって、行動活性化の的確な理解を促し、うつに苦しむ方々の治療の一助となることを心より期待しています。

ワークショップ15

2018年11月25日(日)13:00-16:00
第7会場[4F 405会議室]

公認心理師を対象とした認知行動療法の概論 −理論と技法について−

コーディネーター:菊地 俊暁(慶應義塾大学医学部精神・神経科学教室)

公認心理師が法制化され、今後医療現場における活躍が期待される。特に精神療法の中で治療としての大きなウェイトを占める認知行動療法については、現行の看護師とならんで医師の指導のもとで治療が行われていくことが将来的には予想される。
実施にあたっては、さまざまなトレーニングや研修によってスキルアップが求められるが、個々の技法に走る前に、認知行動療法としての基礎的な考え方や治療全体の像を把握することが重要となる。そのため本ワークショップでは、初学者を対象として認知行動療法の基本的な考え方に始まり、原則的な技法の用い方やトラブル時の対応などを学んでいく。そして医療機関において実施していく場合、主治医である医師との連携が重要となるため、どのような方法を用いて情報の共有化を図るべきかについても学習の目標としていく。
なお、具体的には以下のプログラムにて行う予定である。
1.認知行動療法概論
認知行動療法の理論的背景や有効性についてのエビデンス、またセッション全体の構造や、各技法のアプローチ目標などについて、講義形式で行う。さらにモデル症例のビデオを解説し、基礎的な知識や技法の確認を行っていく。
2.認知的技法について
グループワークを通して、コラム法など認知再構成に分類される技法の習得を目指す。扱う議題の設定や、感情の抽出や思考の同定法、適応的思考の導き方などを学習する。
3.行動的技法について
行動のモニタリングや行動活性化技法について、ワークを行うことで理解していく。目標の設定や具体的な行動計画の策定等を協同的に実施できるようになることが学習の目標となる。
4.医師との連携方法について
医師と情報を共有する方法や、医師側が必要としている事項について解説を行う。症例の概念化についての基本的な理解が得られるようにしていく。

ワークショップ16

2018年11月25日(日)13:00-16:00
第8会場[4F 407会議室]

成人ADHDの認知行動療法

コーディネーター:中島 美鈴(九州大学大学院人間環境学府人間共生システム専攻/
肥前精神医療センター臨床研究部)

近年「自分はADHD ではないか?」と精神科を受診する人が急増している。我が国の有病率は2.09%(内山ら,2012)であるが,実際にはもっと多くの未診断者がいるといわれており,はっきりと診断のつく者から、グレーゾーンに位置しているもののそれが不適応の一因となっている者まで、程度の差こそあれ、成人期のADHD は臨床上の大きな課題となっている。
成人ADHDに対する治療では,各国の治療ガイドライン(NICE,CADDRA,BAP,DGPPN)では,共通して薬物療法に加えて,もしくは代わりに,「心理教育」や「認知行動療法」(機能障害に対処するもの)がおおむね共通して勧められている。実際,薬物療法の奏効しない成人ADHD患者は20~50%存在し(Wilens, Spencer, & Biederman, 2002),追加の治療が求められている。
成人ADHDの心理社会的介入は,2010年頃から大規模な効果研究が報告されるようになるなど,まだ始まったばかりの分野である。2018年4月の診療報酬点数改訂の流れが追い風となり,今後はますます成人ADHDに特化した認知行動療法プログラムの必要性が高まるであろう。
本ワークショップでは,成人ADHDの神経心理学的基礎とアセスメント,ADHDの認知行動療法のエビデンス,Barkley, Murphy, & Bush(2001)の三重経路モデルを中心としたケースフォーミュレーションおよび心理教育のあり方,実行機能障害への対処方法の獲得を中心とした個人認知行動療法の進め方,効果的なホームワークの設定の工夫,集団認知行動療法の進め方についてご紹介し,簡単なロールプレイを実施する。また,2017年より開始した我が国初の成人ADHDの集団認知行動療法の無作為化比較試験についてもご紹介したい。