>>>会長挨拶
 
  〈会長〉
 鈴木 幸一郎
 川崎医科大学 救急医学



 第27回日本救急医学会中国四国地方会を倉敷で開催することとなりました。テーマは“持続可能な救急医療の構築”です。

 我が国の初期・二次・三次救急医療体制は1977年から始まり、既に33年が経過しました。その間に救命救急センターの整備も進み、現在では235施設を数えるまでになり、地域救急医療の中核として機能しています。また、救命救急センターの整備に伴い救急医のアイデンティティも確立されるようになり、救急医療体制と我々救急医は切っても切れない関係になっています。しかし昨今の救急医療を取り巻く環境は厳しい状況にあり、昭和40年代の“たらい回し事件”類似の悪夢が現出しています。今回の特徴は、救命救急センターを中心とした救急医療体制の整備が行われてきたにも関わらず“たらい回し事件”類似の事案が発生していることで、救急医療サービスの需給バランスの破綻は三次救急医療(救命救急センター等)の数的・質的充実に加えて初期・二次救急医療の充実を図る必要があることを示しています。そこで重要になるのが救急医学教育であり、救急医療教育です。従来の三次救急中心の教育に加えて、初期・二次救急に対応できる医学教育・卒後臨床教育が必要であり、そのことが持続可能な救急医療構築に繋がると考えています。

 本学術集会では、昨年10月19日に蘇生に関する国際コンセンサス2010の発表に伴って我が国でもガイドライン2010のドラフト版が公開されましたので、その主な変更点と救急医療システムに及ぼす影響等について広島大学谷川教授に特別講演をお願いしています。また、bystander CPRは社会復帰率向上に極めて有効ですが、実施者に様々な心的障害を与えていることは意外に知られていません。この問題については“bystander CPRと心のケア”と題してシンポジウムを行いたいと考えています。教育講演として、森脇法律事務所から救急医療の現場で遭遇する法律関連事項を“救急医療と法律”と題して講演していただきます。また、臓器移植法が昨年改正され家族の承諾による臓器提供が行われるようになるとともに、小児からの臓器提供も可能になりました。そこで改正臓器移植法について、特に小児の脳死下臓器提供に関する事項を中心とした教育講演を計画しています。救急隊員部会では、“救急ヘリと消防との連携”をメインテーマとした講演とシンポジウムを企画して、ドクターヘリと消防防災ヘリとの協力関係等について議論を深めたいと考えています。

 会期は2011年5月13日(金)と5月14日(土)の2日間ですが、13日は救急隊員部会と幹事会、評議員会、14日は医師・看護師・救急隊員等全会員対象の学術集会となります。従いまして14日は特にタイトなスケジュールになると思いますが、会員の皆様のご協力をお願い申し上げます。

 多数の皆様のご参加をお待ちしています。